濱松屋、三千歳、長兵衛等の数々の小唄の名作を残した吉田草紙庵。その作品数は300にものぼると言われ、大正・昭和期の小唄の発展におおいに貢献しました。そんな彼が著した名著『小唄作曲に就て』を探求します。
『小唄作曲に就て』のおすすめポイント
まずは簡潔に私がこの本をおすすめする理由を先に述べたいと思います。
・作曲者視点で5W1Hが整った制作秘話 ・文書から垣間見える草紙庵の人となり ・小唄が栄えた時代の本
作曲者視点の制作秘話
簡単に内容をまとめると『小唄作曲に就て』はその名の通り、著者吉田草紙庵が小唄を作曲した際に考えていたことを解説した本です。そのため5W1Hがはっきりと表記されており、小唄作曲を行うこととなった動機や基にした作品の解説、制作秘話や苦心した部分まで知ることができます。
また「ここの音にはこのような狙いがあるため、演奏の際にはこんな気持ちで唄ってほしい。」と作者から直々にご指導いただけるありがたい本なので、彼の作品に挑戦したい人や理解を深めたい人にはおすすめしたい一冊です。
作吉田草紙庵の作曲手法と土屋健
吉田草紙庵が前線で活躍した以降に作曲された小唄が新作小唄と定義されるほどの影響力を残した彼は、小唄史において一つの時代を作ったと言っても過言ではないのでしょうか。そんな彼の作曲手法に感心したのは、昭和期に活躍した土屋健でした。
土屋健も『小唄作曲に就て』を読んでいたようで、自身の著書『随筆 小唄おぼえ書』の中でこの本の一部を引用し、草紙庵の作曲手法や作曲における苦労を紹介しています。
土屋健は吉田草紙庵が怪談を原作とする小唄『牡丹灯籠』を作曲する際にお参りに行き、夜中に作曲した事例をあげて「感心した」と述べています。 役者さんが役作りをしたり、演奏家さんが楽曲の歴史や作曲者の研究をしたりするように、創作において原作をリスペクトすること、作品に近い環境に身を置いて精神的に表現対象に寄り添うことの大切さを尊敬する先人二人が裏付けてくれたようでとても嬉しい気持ちになりました。
余談ですが、土屋健の『随筆 小唄おぼえ書』も昭和期の小唄をとりまく環境をリアルに著した名著です。土屋健も昭和期の小唄の発展を支えた名人なので、後々探求簿でも紹介したいと考えております。
吉田草紙庵の人となり
随筆系の本での個人的に一番楽しみにしていることは文書から人となりを垣間見ることができることです。この本で垣間見たのは草紙庵の人付き合いの良さです。六十数ページの薄い本ですが、人物名をよく目にします。草紙庵は彼と付き合いがある人の多くを「先生」あるいは「さん」付けで呼び、その交流をとても大切にしていたことがわかりました。
また俳人土休として俳句を挿入したりしている点から、著者がいかに文化人であったかが垣間見えます。
小唄が栄えた時代の本
『小唄作曲に就て』は 昭和10年11月6日 出版されましたが、同年同日に『小唄稽古本 都の華』というが出版されています。これは小唄の歌詞を集めた本で、『小唄作曲に就いて』と同じ制作メンバーで同じ発行元から出版されています。
作詞作曲者が明記された曲も多く、私としては研究の助けになる貴重な本です。
まだ手に取ることは叶っていませんが、続編にあたる『續都の華』、持ち運びを目的とした『懐中都の華』も存在します。これらの発行元である法木書店からは蓼胡蝶、田村てるなど現代に残る流派の源流を築いた重要人物が出版に関わっています。
小唄本の需要があったことからこの時代が小唄にとっていい時代であったことがわかります。
そんな時代の前線を駆け抜けた人物の一人である吉田草紙庵の内情を綴った『小唄作曲に就て』はこの時代を深く理解するためにとても良い本なのではないでしょうか。
まとめ
吉田草紙庵関連の書籍は多く、まだまだ読み切れておりません。彼自身の著書はもちろん、知り合いや後世の人間が著した彼に関する著書を含めたらその数は小唄本の中でもトップになるのではないのでしょうか。彼が残した作品はもちろん、彼の芸に対するスタンスや人物像はとても素晴らしいものなので、これからも彼の著書を集めていけたらと思っております。
参考文献
・小唄鑑賞 増補版 (演劇出版社)
・小唄稽古本 都の華 (法木書店)
・小唄作曲に就て (法木書店)
・随筆 小唄おぼえ書き (金澤書店)
コメント
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